古文書『印山記』(いんざんき)潮音院写本


潮音院に現存する古文書の中でも、最も貴重な文書です。これは『印山記』(いんざんき)といって、戦国時代の肥前国の様子、諸合戦のありさまを記したものです。「松浦丹後守政はもとは当家の一族なりしが、いかなる故にか、互いに確執におよび、相神浦・有田・今福・黒島を領め、大智庵に城郭を構えておわしける」という冒頭の書き出しは有名で、戦国時代の様相を伺うことができます。「大智庵城郭」とは、佐世保工業高校の正門前から高台に上り詰めたところにあります。

 

*『印山記』潮音院写本は、寛永9年(1632年)正月に潮音院を再興したと伝えられている快深和尚によって記されたものである。平戸松浦藩の礎となった戦国大名・隆信道可公(1599没)の33回忌に当たる年であることから、道可公の弔いあげ供養のために写されたものと推察される。世に現存する印山記写本の中では、最も古く、また体裁も良い状態で、非常に貴重な古文書として保存されている。